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【菊花賞回顧】三冠の価値を再認識させてくれたディープインパクト
2005年10月24日 yuta | 個別ページ | コメント(6) | トラックバック(7) | はてブに追加
2005年10月23日。無敗の三冠馬の誕生を自分の目で見届けられた幸せを噛みしめながらのレース回顧。
今年の菊花賞ほど現地での観戦と、後でVTRと数字を見ながら振り返ったときの感想が異なったレースはない。まずライブで見た直後の感想を一言で言うと、ディープにとってキツイ、何とか勝てたレースだったなということ。これまでのレースとは別馬のような落ち着きを見せていたパドック。そしてデビューしてから最高のものだったスタートは、次の異変への予兆でしかなかった。これまでレース中は非常にクレバーな走りを見せていたディープが坂の下りで完全に行く気を見せてしまう。立ち上がった状態で馬をなだめながら、ホームストレッチを通過したときはスタンドはかなりどよめいていた。向こう正面でいったん落ち着くも走りはいつも軽さとは少し違う。そしてディープが自分との戦いをしている中もレースは進み、他馬は積極的な競馬を展開する。特に素晴らしかったのは3コーナーからアドマイヤジャパンが絶妙なタイミングでスパート。遅れて4コーナー手前で仕掛けるディープ。しかし馬なりの手応えながら、前との差はなかなか詰まらない。4コーナーでの差は絶望的ともいっていいものであり、スタンドには悲鳴が走った。直線でもいつも軽やかな走りではなく、必死で走る武豊とディープインパクト。気が遠くなるような一瞬の後、200mでやっとジャパンを捕らえる。大歓声に包まれつつも、無敗の三冠最終章はしかし、これまでで一番着差の小さい苦しいレースとなった。
以上がライブで見た直後の感想。やはり3000mではディープのパフォーマンスも落ちるのか。菊花賞だけ見るなら、その強さはこれまでの歴史的名馬と比べると少し物足りないものだったのかななどと思っていたわけだ。しかし東京に戻ってVTRとラップを見て、その感想は一変した。ラップを見てみよう。13.0 - 11.6 - 11.7 - 12.2 - 12.7 - 13.0 - 13.5 - 12.6 - 12.0 - 12.3 - 12.2 - 12.1 - 12.0 - 12.1 - 11.6。前半1000mは61.2で取り立てて見るべきところはない。いわゆるスローだ。しかしそこからが強烈。後ろから行っては敵わないとみるアドマイヤジャパンがラップを緩めないのだ。後半7ハロンは12秒前半が連続する超ロングスパート。コラムでも以前触れたタダのスタミナ勝負とは違う最近の菊花賞のトレンド、後半息を入れずに走る力がシビアに問われている。そしてアドマイヤジャパンはそこで最高のパフォーマンスを発揮する。ライブで見たときも素晴らしかったが数字を見ると改めて驚く。坂の下りを利用して一気に後続を引き離すここ数年の勝ちパターンに完全に持ち込んでいるのだ。つまりアドマイヤジャパンは現代ステイヤーとして歴代菊花賞馬と遜色ない走りを魅せている。本来なら他馬に4馬身をつけての圧勝だ。
しかし恐るべきはディープインパクトである。ディープは明らかに前半折り合いを欠いて消耗していた。そしてそのロスを恐れたせいか、鞍上がそれでも末脚を信じていたのかはわからないが、坂の下りの途中でどう見てもワンテンポ遅れた仕掛けとなっている。結果として4コーナーでは外に振られてしまった。スペシャルウィークの菊花賞を思い出される差し馬の菊花賞の負けパターンに嵌っているのだ。しかしここからが規格外。特に直線残り300mあたり、VTRを見るとたぶん手前を変えたところだろう。明らかに走りが変わる。いつもの豹のような猫系の柔らかく空を翔ける走り。あっという間にジャパンを捕らえての完勝だ。上がりタイムはラスト1ハロンレースラップ最速の11.6。3ハロンは菊花賞史上最速の33.3である。前半掛かりながら、ロングスパートをしながら、この末脚は絶対能力が違う。器が違う。本来負けるレースパターンをその能力の差で軽がると飛び越えているのだ。この強さはこれまでの歴史的名馬とは異質。そう、もし例えるならばサイレンススズカしかいないだろう。
そして今一晩明けて思うことは本当に菊花賞は面白い、三冠は価値があるということだ。夏を越しての淀の坂越え3000mは一筋縄ではいかない。マイラー化している皐月賞、単純にベストパフォーマンスを競う日本ダービーとは違う。夏を越しての競走馬としての強さ、完成度を本当に問われるレース、それが菊花賞の位置づけだ。今年の菊花賞についていえば、ディープインパクトは坂の下りでの折り合い、そしてこれまでのどのレースよりも厳しいロングスパートという難関を淀の3000mに課されている。そしてそれに対しディープインパクトは、適性などは関係ない絶対能力の違いを見せ付けるというというこの馬の魅力を最大に生かした満点の回答で答えた。だからこの三冠は本当に価値があると今思える。
そして最後に菊花賞を面白くしてくれた、三冠に価値を持たせた横山典の最高の騎乗をもう一度触れておこう。とにかく今年のアドマイヤジャパンの走りは歴代の菊花賞馬に勝るとも劣らないものである。前半のスローを2番手で追走。一瞬ペースが緩む3コーナーから折り合いを気にする差し馬を置いて積極的に進出し、4コーナーでは後続を大きく引き離し逃げ込みをはかる。セイウンスカイで勝ったときとは違う、これが今の菊花賞を勝つための最高にして絶妙の騎乗であった。先週は自分から勝負に行かないなどと書いて申し訳ない。本当に素晴らしい走りだった。これがなければ今年の菊花賞はただの出来レースとしか思えないつまらないものになっていた。2005年牡馬クラシックは強い馬がレベルの高いレースで強い競馬を魅せるというスポーツとしての魅力を存分に詰まったものとなった。レース前後のJRAの微妙なアピールを全て吹き飛ばす最高の三冠馬の誕生を目の前で見られたことは本当に幸せだったと思う。競馬は本当に面白い。
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コメント(6)
pon :
はじめまして、phc netのponと申します。
昨日、トラセンにて自分の書いた記事をエントリーさせていただいて、皆さんの記事にTBをさせていただきました。
その記事についてなのですが、私の不手際で自分の記事ではなくEucalieさんの「はいはい3冠ね。」という記事にTBされてしまうというミスを犯してしまいました・・・。
しかも記事をクリックすると我がサイトへ・・・。
Eucalieさんをはじめ皆様へは本当にご迷惑をお掛けしました。
サイト管理者の方につきましては記事を削除していただいたようで、本当にご足労をかけまして申し訳ありませんでした。
今後この様な事のないようにしっかり注意して生きたいと思います(猛省)
ゆたゆた :
いえいえトラックバックがらみのミスはよくありますのでお気になさらずに。
サーチライト :
はじめまして。いつも拝見させてもらっています。
今回の記事は非常に秀逸で、今回の菊花賞の面白さを余すところなく解説しておられると思います。
私のブログでもこの記事を紹介いたしましたので、トラックバックをさせてもらいました。
ディープインパクトにはライバルはいないと言われたりしますが、ダービーのインティライミ然り、菊花賞のアドマイヤジャパン然り、決して歴代のG1ホース達と遜色ないと思います。それほどまでにディープのアビリティは図抜けているのでしょう。そうしたディープに敗れた馬たちの、古馬との対決が楽しみですね。
長文失礼しました。今後ともよろしくお願いします。
ゆたゆた :
わざわざリンクまでして頂きありがとうございます。書いた本人が反響のよさに微妙にとまどっていますw
アドマイヤジャパンといい、インティライミといい秋の新興勢力こそ現れませんでしたが、いい脇役であったとおもいます。今後成長次第で主役に飛び出してくることを期待したいですね。
RR :
はじめまして。RRともうすものです。
菊花賞は淀のコースと併せて非常におもしろいレースで、ごまかしのきかないレースだと思っています。そんな中であんな勝ち方したあの三冠馬は間違えなく化けものですね。
ただ、今年の牡馬はレベルが低いと言われているのは、サーチライトさんと同じで「ありえない」とおもっています。クラシック三冠で実力馬が上位を占めている。伏兵の出番皆無です。それだけでレベルの証明でしょう。そのあたり、脇役の評価が低いのは心外です。
ところで、どっかの記者が「菊は錆びている」とコラムで書いているのですが、どうおもいますか? じぶんはとりあえず、過去の勝ち馬のその後の成績見てから書けよ、と言いたいのですが。
ゆたゆた :
はじめまして。コメントありがとうございます。
ディープインパクトの勝ちっぷりは素晴らしいものでしたね。今年の牡馬のレベルが低いかどうかは今後の活躍次第ですが、少なくともパフォーマンスの面では十分なものだったと思います。惜しむらくはステイヤー適性を持つ馬が菊に出てこれなかったからでしょうか。
ノモケンについては長距離嫌いはもう芸風だから仕方ないとは思っています。基本的に好きなんですけどね、ノモケンw
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